僕は四月に第一志望校である灘中学校に進学します。そこで、これまでの中学受験生活や希学園での過ごし方などをふりかえり、合格体験記を書かせていただくことになりました。後輩の皆さんもぜひ参考にしてください。
<3年生>
このころ希学園に入塾しました。ベーシック、最高レベル演習算数、最高レベル演習国語を受講していましたが、成績や受験のことはあまり気にしておらず毎日友達と遊んでいました。この時受けたプレ灘中入試の算数で16点、E判定を取り単純に驚いたことを覚えています。
<4年生>
「まだまだ遊びたい!」との思いから最高レベル演習算数と、ベーシックの理科以外を土曜日にまとめて受講していました。灘クラブ特訓も受講していましたが、授業途中で、みんながわかっているのに自分だけわかっていない問題があることに気づき、焦ることもしばしばありました。それでも、勉強はそれなりに楽しくやっていました。何事も楽しむことが大事だと思います。
<5年生>
5年生になってやっと「もっと毎日勉強したほうがいい」ということに気づき、公園で遊びまくっちゃえ生活が終わりました。ベーシック算数は森(匠)先生で、いつも面白い授業をしてくれていました。ベーシック国語は山下(正)先生で、雑学をたくさん紹介していただき国語への関心が一層深まりました。1年生~5年生で大切なことは、「興味、関心を持つ」「好きな教科を楽しむ」ということだと思います。僕は理科が好きで理科資料を読みあさっていました。そのことがのちに有利に働くこととなりました。
<6年生春>
チューターは齋藤先生になりました。チューターノートに面白いコメントを書いていただけるので、書くのはとても楽しかったです。また、希学園の名物ともいえる志望校別特訓が始まり、かなり忙しくなりました。このころも算数は苦手で、志望校別特訓で平均点のマイナス20点を取ったこともありましたが、松田先生の授業はとても面白く、「算数って意外と奥深いんだな」と、誰かに叱られそうなことも思ったりしていました。また、ベーシックで松田先生に「みだりに速度を上げないように」といわれ、速度より精度を重視し始めたところ、奇跡が起きます。なんと5月のプレ灘中入試で、それまで半分以下しか取れていなかった算数で、6割を取ることができたのです! これは夏に向けての大きな自信となりました。
<6年生夏>
まずあるのが夏期激励集会。僕は、誘惑に負けてしまうタイプなので、それを打ち破ろうと「自分への甘えを捨てて絶対合格します!」と決意表明をしました。やがて始まる夏休み、受験の天王山ともいわれる時期です。つまり他人と差をつけるチャンスなのです。隣にさぼっている人がいれば、「頑張ってる自分ってすごいじゃん」と思ってください。結果は後からついてきます。そして楽しみだった夏期合宿。その直前の学園長杯争奪テスト大会では、いつもは良い成績なのに悪い成績になってしまい、とても悔しかったです。なので、「夏合宿に本気で挑むぞ!」と決意を固めました。そしてホテル到着。一日目は学習サポートルームだけでしたがやはりいつもと違うものを感じました。例えば、時間について。夏期合宿では、夕食→入浴→集合の流れだったのですが、(西川(大)先生に手を振るなど)僕たちのチームは割とのんびりしてしまい、集合時刻ちょうどにつくということをやらかしてしまったのです。松田先生に注意され、時間をこまめに確認するようになりました。2日目からはスピード強化演習がありました。あちこちで「一発合格!」とか紙を破く音とかが聞こえてきます。つまらないミスをすると解答用紙を破られます。このような「限界まで自分を追い込む環境」によって真の集中とはどのようなものかを知ることができ、その後につらい経験をしても、「あれを乗り越えられたんだから…」と思える貴重な経験となりました。
その後のプレ灘中入試ではA判定まであと2点という成績を取り、「上出来かな」と思っていたら、算数Ⅰの計算問題で分母をこたえなければならない問題で分数全体をこたえ、8点を落としていることに気づき笑えなかったです。ここで「入口(問題文を読み、把握する)」と「出口(答えを出し、解答らんに書く)」のチェックという僕にとっての人生の課題が浮かび上がってきたのです。
<6年生秋>
志望校別特訓[第Ⅲ期]が始まり、猛烈に忙しくなりました。前日の夜になんとか終わらせるという状況はよくないなと思いつつも続いており、自分の計画を見直すと、そこには先のことを考えずとりあえずやっちゃえ的な流れが生まれていたのです。これを改善する助けになったのがチューターノートでした。先週のチューターノートの計画らんを見て、失敗したところやうまくいったところなどを探し、それを今につなげるという方針を取ったのです。すると、計画の立て方が上達し悪循環から抜け出すことができました。
また、10月になるとベーシック灘が始まりました。ベーシック灘では灘型のテストゼミをします。僕はそれなりに点数を気にしていました。でも気にすることはそれだけではないと途中で気づきました。合格点を超えて調子に乗っていたら答えの書き間違えがあったとか、40点台でも取れるところは取りきっていたとか、そういう「結果」だけじゃないということをテストゼミ(またはそれをつくってくださった先生方)は教えてくれたように思います。
<6年生冬>
志望校別特訓[第Ⅳ期]が始まりましたが、[第Ⅲ期]と比べてそれほど宿題は増えなかったので安心しました。僕としては[第Ⅱ期]→[第Ⅲ期]が一番きつかったように思います。ですが、このころ(11月あたり)は入試が近づいてくることをかなり感じ、精神的には追いつめられる時期で、僕は「本当に今の自分の力で灘中に合格できるのだろうか」などと考えた時もありました。でもそんなことを考えても意味はないのです(と過去の自分に言いたいです)。もっといいことを考えましょう。「入試が終わったら何をしようか」とか「灘中に入ったら何をしようか」とか、そういうことを考えるだけで気持ちは楽になるはずです。
そしてついに入試対策が始まりました。文字通り朝から晩まで勉強し、力をつける講座です。僕は算数で思うような点数が出ず、苦しんだことがかなりありました。その原因は「焦り」でした。
僕史上最悪な算数Ⅰのテストの受け方が下記の通りです。
①計算問題で、答えが汚くなりミスを探すが見当たらず焦る。焦った結果余計わからなくなりミスに気づいたころには5分経過。
②そのまま焦った状態を引きずりながら解いていく。焦ると条件整理が雑になり、わかったはずのものもわからなくなる。一通り解いた後の解けた問題が計算問題も合わせて3問で、約25点分。残り時間は20分。この後の展開を想像し絶望する。
③何とかあと4問を解く。あと10分程度。ここからは見直しにあてればよかったのだが焦っているため冷静な判断ができない。あろうことか全く歯が立たなかった問題を解き始め、何とか答えを出したが、なぜか(当然だが)つじつまが合わない。安心から絶望の谷に落とされ放心状態に。シャーペンを持つ手が全く動かないままタイマーが鳴る。
この結果を呼び出しで西川(大)先生に見せると「力が入りすぎている」と言われ確かにそうだなと思いました。この時からテストでつらい展開になっても冷静に対処できるようになり、入試が終わった今では「大失敗してよかったな」とも思える貴重な経験になりました。
そして迎えた大晦日激励集会。学園長には入試の厳しさや過酷さを教えていただき、また一段と入試への覚悟が決まりました。
<正月プレ灘中入試>
1日目
おそらく本番よりも緊張しましたが、問題を解いているうちにだんだんと落ち着きました。算数Ⅰでは1枚目が思った以上に難しく、焦りましたが、「自分に解ける問題は必ずあるはずだ」という信念のもと2枚目に挑みほとんどの問題を解くことができました。そのあと1枚目に戻ると、意外とわからなかった問題が解け、安心しました。
2日目
算数Ⅱは比較的得意な方だったのですが、かなり難しく、最後あたりは解けそうで解けない「速さ」の単元の沼にはまっていました。結果(つまり合格発表が済んだ後に気づいたこと)、正しい答えが出ているのに解答らんには間違った答えが出ているという大失態をやらかしており、とても悔しかったです。この経験から、「最後の5分は見直しに使う」ということを決めました。
合格発表
この時も本番より緊張しました。その分、合格とわかった時の安堵感も大きかったです。けれども様々な先生から「絶対に油断するな」と言われ気を引き締めました。僕はどうしても油断しがちなところがあったので、この言葉がなかったら本番で失敗していたと思います。
<入試直前期>
最初の一週間は入試対策で埋め尽くされ、入試のことを忘れることもでき、やれることはやりきることができました。
北嶺中入試
初めて受ける入試で、しかもいかにも「入試」という感じのする雰囲気なのでそれなりに緊張しました。
国語;記号問題の文が長く悩むものもあった。普通。
算数;かなり難しかった。取れるものは取りきったと思う。
理科;難しい知識問題がかなり出たが、他は簡単。
結果;特待合格
実は「入試がすべて終わるまで結果は見ない」と決めていたのですが、誘惑に負け、結果を見ました。僕としては見るも見ないも自由だと思います。
最後の一週間
学校も始まり、半日授業となりました。でも塾は不変で「本当にあと数日で入試なの?」と思える雰囲気でした。最後の理科の授業なんか大爆笑の嵐で、ありきたりな言葉にはなってしまいますが「希学園にいて良かったな」と思わされる一週間でした。入試前日には齋藤先生からのおやすみコールがあり、合格できる自信がつきました。
<入試本番!>
灘中入試1日目
ミニ講義では先生方からやる気をいただき、何があってもあきらめないことを決意し会場に向かいました。
国語;普通。漢字パズルが3分の2わかったので安心した。しかも一度入試対策で出た文章が出て嬉しくなった。
理科;普通。ミニ講義で出た凝固点降下の問題が出てテスト中にニヤニヤしてしまった。
算数;希学園でのテストゼミより圧倒的に取りやすい問題がはっきりしている。最後の問題が立方体を半分に切るだけだったので、「えっ本当にこれだけでいいの!?」と思うと頭の中で佐生先生の「いいんです!」が答えた。
全体的にも手ごたえはかなり良かったのですが、当日特訓の際「2日目が勝負!」と言われ気を引きしめました。
※入試会場から帰るときには黄色い声をあげる人たちがおしあいへしあいしているので早めに帰った方がいいです。
灘中入試2日目
算数;1日目よりも難しいが、取れるところは取りきった。配点の大きい問題を何も書かずに飛ばしてしまったことは心残り。
国語;こちらも難しめ。詩がよくわからなかったが一応書ききった。
この後移動し、西大和学園中に向かいました。
西大和学園中入試
国語;それほど難しくない。最後の並び替え問題も悩まずにできた。
算数;かなり難しい。見直し時間があまり作れなかったので、ミスがないかどうか少し不安。
理科;やや簡単。試験中ミニ講義あとにもらった冷たいカイロがポケットの中でいきなり熱くなり、何事かと思ってページをめくっているとカイロの問題があり、納得した(?)。
ホテルに向かう途中、齋藤先生からのおやすみコールがあり、へとへとだった体に元気が湧きました。
翌日。
東大寺学園中入試
天気はあいにくの雨でした。雨だと少し気が乱れる部分もあるので、気をつけてください。
国語;西大和学園中と同じ感じ。
算数;おそらく50点以下だが、それほど気にならなかった。
理科;かなり易しい。前日特訓で出たノギスが出て驚いた。
入試が終わった瞬間、「今までよくやりきったな」と達成感が湧いてきました。
<合格発表>
東大寺学園中の帰りに西大和学園中の合格発表があり、無事合格だとわかった時はかなり安心しました。
そして灘中合格発表。10時半になりクリックしたときに「合格です」の文字が出た瞬間、やはり最初に感じたのは安堵でした。希学園に行き、合格仲間と遊びあううちにだんだんと喜びがこみ上げてきました。
翌日、東大寺学園中の合格発表で合格だと知った瞬間は喜ぶと同時にかなり驚きました。「算数があの感触で?」と思いましたがそもそも難しめなテストだったそうです。「入試合格の秘訣」にもありましたが、希学園の塾生が難しいと感じる問題はほかの人にとってはめちゃくちゃ難しいので、難しい問題にぶち当たっても安心してください。他人と精神的に差をつけるチャンスです。冷静な判断をして易しい問題を取りきってください。
<最後に>
灘中合格がわかった時、僕の口から出た言葉は「やっぱりね」でした。後から思うとすこぶる生意気な言葉だったなとは思うのですが、必ず合格できるという自信が僕にはあったのだと思います。それは自分の問題もあると思いますが、やはり希学園や家族、友達がそのように僕を育て、支えてくれたからだと思います。僕の合格は決して僕一人だけの合格ではありません。周りの人が支えてくれての合格なのです。だからその分も僕は「灘」という学校を思いっきり楽しみます。
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